- 10月 3, 2026
腰部脊柱管狭窄症のヤバ症状
「歩きにくい、スリッパ×、おしっこ障害」までくると、本当にやばい!!
先日のコラムで、本当にお伝えすべきことをシンプルに伝えられなかった悔いがあります。
『すべり』と『すべり症』――家族ならどう説明するか | 淡海せぼねクリニックブログ
なので、しつこいけど、もう一度書かせてください。言いたいことはタイトルの通り。
腰部脊柱管狭窄症では、痛みやしびれとは別に、
足が動かなくなること、おしっこの障害が出ることは、もっと注意が必要です。
ここまで進むと、手術で神経の圧迫を取り除いても、十分に回復しないことがあります。だから、放置しないでください。

脊柱管狭窄症の症状は、多くの場合、
① 痛み・しびれ
→ ② 休まないと歩けない
→ ③ 足が動かない
→ ④ 尿が出にくい・残る
というように進んでいきます。
②と③は、大いに違います。
②の間欠性跛行は、「歩くとつらいけれど、休めばまた歩ける」という状態です。
しかし③になると、神経から筋肉への命令そのものが届きにくくなっています。
手術で物理的な圧迫を解除しても、神経の障害が残る可能性が出てきます。
④まで進むと、さらに戻りにくくなることがあります。
③「足が動かない」の簡単な見つけ方
- かかと歩きができるか
- つま先歩きができるか
- 椅子から手を使わず立てるか
- 階段で足が抜けないか
「痛くてできない」のではなく、「力が入らなくてできない」ことがポイントです。

④ おしっこの障害
おしっこの症状は、大きく分けると、
「出す」
「ためる」
「残る」の3つです。
排尿=出す方。
シャキッと出ない。
時間がかかる。
途中で途切れる。
お腹に力を入れないと出ない。
蓄尿=ためる方。
何回も尿をしたくなる。
我慢できない。
トイレまで間に合わず漏れてしまう。
そして、残尿感。「まだ残っている気がする」という症状です。
ただし、ここが大事です。残尿感と、実際の残尿は同じではありません。残尿感があっても、実際にはほとんど残っていない人もいます。逆に、かなり尿が残っているのに、本人には残尿感がない。こちらの方が、むしろ注意が必要です。こうした排尿症状を見るのに、IPSSというスコアが便利です。

もともとは前立腺疾患に使われるスコアですが、脊椎・馬尾疾患による排尿障害を評価する際にも参考になります。
2011年頃、私は藤枝平成記念病院で、脊椎疾患と排尿機能についてかなり研究していました。本当に大変でした。
脊髄症を伴う頚椎変性疾患における下部尿路症状の評価法としての国際前立腺症状スコア (IPSS) の有用性
腰椎変性疾患における下部尿路症状の評価法としての国際前立腺症状スコア (IPSS) の有用性
脊髄・馬尾疾患における排尿障害についての検討(第1報)―尿流測定検査の再現性 | Neurological Surgery 脳神経外科42巻1号 | 医学書院UNITAS
それはさておき、一般の方には下の図だけ見ていただければ十分です。

では、そもそも残尿とは何でしょう。
自分では全部おしっこを出したつもりなのに、排尿後も膀胱の中に残っている尿。
これが残尿です。一つの目安として、100mL以上残っていれば「多い」と考えます。
当院では、これを専用の残尿測定器「リリアム」で測っています。
値段は約40万円。普通、脳神経外科や整形外科のクリニックには、置いてありません。

なぜ当院にはあるのか。残尿が重要だから。残尿が続くと、

膀胱炎、膀胱結石
溢流性尿失禁
高圧排尿→膀胱壁の肥厚・線維化
水腎症、腎機能低下(→生命の危険にも)
につながることがあります。
特に溢流性尿失禁は、「尿が漏れている=ちゃんと出ている」ではありません。
膀胱がいっぱいになり過ぎて、あふれて漏れていることがあります。
状態によっては、自己導尿や尿道カテーテルによる管理が必要になります。
足の麻痺や排尿障害まで進むくらいなら、手術を考えてください。
手術のリスクより、しないリスクが上回ると思います。