- 9月 26, 2026
面倒くさいことはやる、風呂敷は大きめに広げる、手術では頑張りすぎない
「あーめんどくせめんどくせめんどくせめんどくせ」っていう事ありませんか?
かといって面倒くさいのに任せて何もやらないと、めちゃくちゃ自己嫌悪。
「面倒くさいっていうと、人生は狭まるよ」、母に教えられた言葉です。(ちょっと絵は遊びすぎました。)

53歳でも、13歳でも、この原則は一緒。
仕事、医療においては面倒くさい、とは違いますが、「少しでも迷ったことはやる、風呂敷は大きめに広げて」と決めています。これは誰に教えてもらったわけではないですが、元にあるのは「面倒くさい事はやる」です。これは患者さんに使う言葉ではないですが。
研修医の時、ちょっと患者さんがおかしくて、90%何にもないやろうけど、看護師さんが聞いてきます。
「CT撮る?」聞かれたら迷う、迷ったら撮る。
迷わないくらいの経験が身についてからは、なぜ撮らないのか、こうなったら撮ろう、と、みんなに言えるくらいになりました。CT撮るか撮らないかって、重要なんです。
何かあったら「倉石が撮らんでいいって言った」となります。責任問題ですから。
日常診療で、面倒くさくて、そのまますぎていきそうだけど、何かの火種になるかもしれない些細なことって、たくさんある。というか、毎日、その連続です。
「あれ、あの患者さん、少し誤解してへん?ちょっともう一回入ってもらって」
「ホンマにL5のみでいいんやろか、一応S1ブロックも手術までにしておこう」
「かかりつけの内科に伝えて、って言ったけど、紹介状書こ。丁寧すぎてちょうどいい」
「BKPの前にもう一回、CTかMR撮ろ。新たに骨折しとるような気がするわ」
手術はそういうことないだろう、と思われるかもしれません。実は手術こそ、そうです。
「このまま終われるけど、もう少しこうすると、たぶん患者さんは楽だろうなあ」
特に止血。局所止血剤や、ドレーンについては、術後血腫になる事を、かなり悪めに想定して、風呂敷を大きめに広げて手を打ちます。
やりすぎれば何でもいいの? NOです。
自然の経過に逆らわない、無理しない、神経を引っ張らない。
例えばヘルニアは自然に吸収されることがあります。なので、ヘルニア自体を完全に摘出できなくても、椎弓切除をするだけで自然経過よりも良い結果を出すことは十分にあり得ます。もちろんきれいに無理なく摘出できるのが一番良いですが。神経をぐいぐい引っ張って取る必要はない。
ここで終わるか、もう少し頑張るか、私はどちらかというと頑張りすぎる。でも無理に引っ張るのではなく、しっかりと削って、神経を傷めないようにして圧迫を取る。そういう意味で頑張りです。
手術の終盤の看護師さんとの会話
「はよ終われって思ってるやろ、絶対思ってるわ」
「そんなことないですよー」
「(まあ、もうちょっとやらせてもらうわね)」
そんな会話をしながら、終わりどころを毎回見つけています。

思うに、手術時間を数十分縮めることより、術後に患者さんが痛み少なく、すっと起きて、すっと帰れることの方を私は重視しています。
特に日帰り手術のクリニックですから、術後、痛い痛い、では運営できないのです。
手術で神経を思い切り引っ張って、術後は強めのステロイドで頑張って、何とか1から2週間後には帳尻合わせる、はダメ。十分に骨を削って、後ろから神経の余裕を作って、時間をかけてから神経にアタックしに行く。これはもともとのFESSとはかけ離れていると思います。FESSにはドリルが元々なかった。骨を削る道具はもともとありませんでした。私のFESS始まりは、「MED手技をFESSでやる」でしたから、そもそも全然違います。これって、FESS素人の人には役に立つ考え方だと思います。時間かければいいんです。
無理はしない。でも、面倒くさいから、と省略もしない、神経の気持ちになる
「面倒くさい、で人生狭まる」、生きていますよ。