- 8月 5, 2026
アクセルを踏み続けたら死んでしまう 私のサンクチュアリはSUP
7月19日、20日の連休はSUPをして、ゆっくり過ごしました。21日は休み明けの手術でしたが、休み明けの手術は嫌ではありません。むしろ、心も身体も整った状態で患者さんに向き合えるので、好きです。
ところが、その週からの約2週間を振り返ると、かなりハードな日々でした。
私が執刀しただけでも、分離すべり症に対するFELFが2例、側弯を伴うFELFが1例、2椎間のDPELが1例、3椎間のDPELが1例、腰椎椎間板ヘルニアが2例、BKPが1例。どれも集中力を要する手術です。
1週目の週末は休日診療の当番となり、SUPに行けませんでした。そのまま月曜日へ。
7月末の休日診療は、現状認識に役立った | 淡海せぼねクリニックブログ
休日診療では、普段とは違う環境の中で仕事をすることで、自分自身の現状を見つめ直す出来事がありました。
その後、SUPコーチから「水曜日の朝、6時集合で乗りませんか」とLINEが届きました。
PukaPukaを卒業した若いプロや、ほとんどプロレベルのライダーが一緒に漕いでくれるという魅力的なお誘いです。
行きたい。でも朝は早い。
「起きられるかな」と考えながら布団に入ったのですが、「寝坊してはいけない」と思えば思うほど眠れません。
夜中の1時に目が覚め、そのまま眠れず、最近経験した難しい分離すべり症のFESS手術の動画編集を始めてしまいました。
分離症の最終形としての椎間孔狭窄 難しいFESS手術 | 淡海せぼねクリニックブログ
気が付けば朝。当然、身体は重たいままです。翌日は手術でした。
手術中は不思議なもので、完全に集中できます。
無事に終え、内容にも満足していました。
しかし、夕方になると完全に電池切れでした。
食後のスイーツの時間も、ゾンビ状態。そしてすぐに寝ました。
金曜日の朝は、いつもの黒橋川を散歩しました。
ところが帰ってくるだけで、へとへと。
散歩でここまで疲れることなどありません。
そのとき、本気で思いました。「このまま死ぬかもしれない。」
夕方には京都で研究会があり、外勤に来てくれている小林先生が発表される予定でした。
本当は行きたかった。でも頭痛もあり、「電車の中で脳出血を起こしたらどうしよう。」
そんなことまで考えてしまいました。
疲れていると、人は笑えるくらい悪い方向へ考えるものです。
好きな仕事を、好きな環境でしている。それなのに、自分ではアクセルを踏むことしかできなくなっていました。今振り返ると、交感神経の渦に巻き込まれていたのでしょう。
自分で仕事をコントロールしているつもりでも、実際には仕事に自分が支配されていたのかもしれません。
土曜日は少し回復し、午後から骨粗鬆症の研究会へ参加しました。
「破骨細胞の炎を消せ、それから骨づくり」 | 淡海せぼねクリニックブログ
そして日曜日の朝、琵琶湖へ。メチャ風が強い。
悔しいが、「今日はやめよう。」そう判断しました。
それでも、心のどこかで「最近SUPしていないなあ」という思いが残っていました。
ショップPukaPukaのLINEには、皆さんがウイングで楽しんでいる動画が次々と届きます。やっぱり行きたい。
そう思って、8月4日と8月6日の朝、思い切ってSUPへ行きました。
朝5時過ぎに琵琶湖へ入り、6時には上がる。たった1時間です。





朝の琵琶湖は風がなく、水面は鏡のようです。沖へ出ると少しうねりがあります。
最近は「水をつかんで、ボードを前へ押し出す」ことを意識して漕いでいます。
自分のいいところを写真で撮ろうとして、また湖へ落ちました。
邪念があるとダメです。でも、琵琶湖へ落ちると本当に気持ちいい。
笑ってしまいます。SUPを終えて病院へ戻る。
シャワーを浴びて、パソコンの電源を入れ、エアコンをつけ、花に水をやり、コーヒーを淹れる。いつもの朝です。
ところが、その日は何かが違いました。
患者さんの話が、驚くほど頭に入ってくるのです。
肺炎で点滴を受けた話。
お寺で絶対に枯らしてはいけない大切な木があり、毎日夕方に水をあげているという話。
一人ひとりの生活や背景が、自然と頭に入ってきました。
「ああ、さっぱりするって、こういうことなんだ。」
頭も、身体も、心も。灰汁やヘドロのようなものが、すっと流れていった感覚でした。
私は仕事が好きです。
だからこそ、ついアクセルを踏み続けてしまいます。
でも、どんな高性能な車でも、アクセルだけでは壊れてしまいます。
人も同じです。
私にとって、そのブレーキがSUPでした。
頑張るために休むのではありません。
患者さんにいい医療を続けるために、思い切り遊ぶ。
それも医師として大切な仕事なのだと、あらためて思いました。