- 7月 2, 2026
両足のしびれは、手術で治るのでしょうか? ―脊椎外科医が最も慎重になる症状―
外来でよく受ける質問があります。 「この両足のしびれは手術で治りますか?」

実は、この質問は脊椎外科医にとって最も難しい質問の一つです。
先日も患者さんから尋ねられたので、一旦、私なりに整理してみます。
私は、強引にですが、両足のしびれを4つに分けて考えています。

① 脊椎疾患:まだ改善が期待できる段階
神経は圧迫されていますが、障害は比較的軽く、手術によって改善する可能性があります。

② 脊椎疾患:神経障害が進み、しびれが残りやすい段階
長期間の圧迫によって神経そのものが傷んでしまった状態です。手術で圧迫は取り除けても、足先のしびれは残ることが少なくありません。

③ 脊椎以外の病気:治療できる病気

例えば、
・糖尿病
・ビタミンB12欠乏
・CIDP(慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー)
・腎機能障害
・甲状腺機能低下症
・薬剤性(抗がん剤など)
・アルコール性ニューロパチー
などです。
これらは原因が見つかれば、治療によって改善や進行予防が期待できます。
④ 脊椎以外の病気:原因がはっきりしない病気

十分に調べても原因が見つからない末梢神経障害もあります。
代表的なのがCIAP(慢性特発性軸索性多発ニューロパチー)です。

症状を和らげる治療はありますが、現在のところ神経そのものを元通りにする治療法は確立していません。将来のIPS細胞でしょうか。
ここで大切なのは、
①と②は「程度」の違い、③と④は「種類」の違い
ということです。
①が②になる前に治療できるか。これが脊椎外科医の重要な役割です。
一方で、③なのか④なのかを見極めることは、脳神経内科の先生方の力を借りる場面が少なくありません。
私は外来で一つの目安として、
「姿勢や歩行で変化するしびれは改善が期待できることが多く、24時間変わらず続く足先のしびれは、手術後も残る可能性があります」
と説明しています。

もちろん例外はありますが、多くの患者さんを診てきた中での実感です。
脊椎外科医の仕事は、手術をすることだけではありません。
「まだ回復できる神経なのか、それともすでに傷んでしまった神経なのか。」
そして、
「本当に脊椎が原因なのか、それとも脊椎以外の病気なのか。」
この二つを見極めることが、患者さんにとって最も大切な診療だと私は考えています。
その見極めこそが、患者さんにとって最も大切な診療だと私は考えています。