• 8月 27, 2026
  • 8月 28, 2026

痛みないが、足の力が入らない小さなヘルニア→勇気をもって手術

痛くて「何とかしてくれ」→手術:わかりやすい。

痛くて、麻痺がある→勿論手術

では

痛み消えた、足が麻痺している→どうするか

30代男性

2週間前にものを取ろうとして右腰に激痛。座ることができず。

10日間安静にし、右腰・下肢外側の痛みは3割程度に改善したが、

その頃から右脚の踏ん張りがきかず、足首が曲がりにくくなった。

MRIでL45右に小さなヘルニア

痛みは軽度、でも右はかかと立ちができない(下垂足)

痛くない人に「手術しましょう」っていうのは、正直苦痛。でも必要ならビシッと言います。痛みと下垂足が同時に出て、同時に改善傾向なら、だれも手術は勧めません。

しかし

痛みが改善傾向で、麻痺が出現したらどうすべきか。

そして、ヘルニアの大きさは関係ないのですが、そうは言っても、でかいと少し説得力があります。こちらの確信が持てます。今回は結構小さめなんです。

頚椎では激痛が取れてから筋力低下が明らかになる「頚椎症性筋萎縮症」は比較的一般的です。腰椎椎間板ヘルニアでは症例報告レベルです。Spontaneous Recovery in Complete Foot Drop in a Case of Lumbar Disc Herniation: A Neurological Surprise – PMC この論文は痛みが良くなった後に完全麻痺が出たけど、放っておいたら治ったという論文です。手術はしていません。頚椎は脊髄、つまり中枢神経の話なんですが、腰椎は神経根、つまり末梢神経の話なんです。微妙に機序が違う。

まあ、ないことはない、という事。

初診日に訴え、神経症状、MRIまで確認し、治療方針に悩みました。

進行する運動麻痺がある以上、手術を積極的に検討すべき状態ですが、

「患者さんの理解」が最も重要です。

私から患者さんへの、心を込めた、ありのままの説明

  • 麻痺しているという事は、運動神経がかなり障害されているのは間違いないです。

だから、手術をすごくうまくやっても、改善するとは限りません。

  • ヘルニアが小さく、まあ、椎弓、靭帯との挟み撃ちなんで、ヘルニアの大きさがそれほど重要な訳ではありませんが、そういう意味でも、手術しても何も変わらない可能性はあります。
  • ただ、手術をして、除圧することが足の運動神経に良い影響をもたらす可能性は勿論あります。
  • 経過をずーっと見て、手術する最高のタイミングを逃してしまうことはあり得ます。
  • そして、この手術の侵襲はそれほど高くなく、当院では日帰りでやっています。
  • 緊急手術、が必要かもしれないですが、痛くないと、ちょっとわけわかんないですよね。1週間、経過を診たいし、そしてよくお考え下さい。

1週間後、手術を希望されました。気持ちがついてきているのか、ちゃんと理解しているのか、何回もお聞きしました。看護師からも、理学療法士からも。

そして、結局、手術は空き枠の関係で初診時から1か月後になりました。

そして、手術は問題なく行われ、ヘルニアは摘出されました。8mm切開のFESS手術。

そして、なんと、直後から踵歩きが可能になったのです。踏ん張りも利くように。

もちろん日帰り、大満足でした。正直、驚きました。

学術的な分析はいろいろありますが、思うところでは、

ヘルニアは痛みが減れば治った、というわけではない、という事。

それと、今回は、こちらの真剣な説明をしっかりと患者さんが理解してくれて手術まで行けたことがとても良かった。うん、よかった、よかった。

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