- 8月 4, 2026
7月末の休日診療は、現状認識に役立った
7月末、休日診療の当番に入りました。
朝10時から夜8時まで。外科当番なので、切り傷を縫ったり、創傷処置をしたりすることが中心です。こういう処置は嫌いではありません。患者さんと話をして、必要な治療を考え、丁寧に仕上げる。普段と違う環境も、それなりに楽しみながら仕事をしていました。
ところが、この日は何となく歯車が噛み合いませんでした。
私は、できるだけ患者さんと最初に目を合わせて話をしたいと思っています。
「それでは、こうしましょう。」
そう一言伝えてから処置を始めたい。小さなことですが、その数十秒で患者さんの安心感は大きく変わると思っています。
ところが、この日は私が診察室へ入る頃には、患者さんはすでに処置台に寝ていて、準備も終わっていることが何度かありました。
7歳くらいの女の子の膝の傷も、その一人でした。
局所麻酔をして縫うより、ホチキスを1か所留める方が痛みも少なく短時間で済むと判断しました。そして私は、お母さんにもそばにいてもらい、一緒に励ましてもらいながら処置をしたいと思っていました。
ところが、お母さんは「気分が悪くなるといけないから」と診察室の外へ案内されていました。
結果として、その女の子はとても怖がり、大声で泣きながら足を激しく動かしました。処置自体は問題なく終わりましたが、私の中では少しだけ不完全燃焼でした。
「今日は、どうもタイミングが合わないな。」
そんなことが積み重なり、一日中どこか落ち着かないまま過ごしました。
夜8時前、帰る支度をしようとトイレへ行き、戻ってくると診察室の電気が消えていました。
「ああ、もう帰っていいんだ。」
そう思って聞くと、
「20時まではいてください。」
と言われました。
「じゃあ、電気は消さないでほしいな。」
そんなことまで気になってしまう一日でした。

結局、誰にも何も言わずに仕事を終えました。
帰り道、ふと不思議な感覚になりました。
「ああ、この感じ、懐かしい。」
思い出したのは、2019年まで勤務していた大学病院時代です。
その頃は、休日や夜間の当直、他院での外来や手術のアルバイトもよくしていました。
病院から出られない閉塞感。
誰に腹を立てればいいのか分からないまま、何となくイライラしてしまう感覚。
だから当直の日は、好きなスイーツをたくさん持って行ったり、楽しみを自分で作ったりしていました。
今回の休日診療で感じた空気は、その頃とよく似ていました。
そして、同時に気付いたことがあります。
今の私は、そういうストレスをほとんど感じなくなっています。
クリニックのスタッフは、私がどんな考えで診療しているのかを理解してくれています。
私が患者さんと話している間は静かに見守り、必要な時だけ自然に手を貸してくれる。
誰かが特別に頑張っているというより、お互いの考え方を理解した上で、一つのチームとして仕事ができるようになってきました。
毎日その環境にいると、それが当たり前になってしまいます。
でも、一歩外へ出ると、その当たり前が決して当たり前ではないことに気付きます。
患者さんに集中できる環境。
余計なことを考えず、自然に診療できる環境。
それは、一緒に働いてくれるスタッフが長い時間をかけて作ってくれたものなのだと思います。
決して楽しい休日診療ではありませんでした。
でも、おかげで今の職場のありがたさを、改めて実感することができました。
