• 7月 20, 2026

脳梗塞と圧迫骨折は似ている! 実は大きなお化けが隠れています

脳梗塞の代表的な病気に「ラクナ梗塞」があります。
ラクナ梗塞とは、脳の深いところへ栄養を送る細い血管(穿通枝)が詰まることで起こる、小さな脳梗塞です。

原因の多くは、高血圧や糖尿病、加齢によって脳の細い血管が傷み、「硝子化」と呼ばれる変化が進むことです。血管の壁は厚く硬くなり、内側は狭くなります。
その結果、
• 血管が詰まれば ラクナ梗塞
• 血管が破れれば 脳出血
を起こします。
ここで大切なのは、ラクナ梗塞は一本の血管だけの病気ではないということです。
一本の穿通枝が詰まったということは、その周囲の細い血管も同じように傷んでいる可能性があります。

だから、次は別の血管が詰まるかもしれません。あるいは、別の血管が破れて脳出血になるかもしれません。治療は抗血小板薬を飲めば終わりではありません(少し効果はある)。血圧をしっかり管理し、糖尿病を治療し、禁煙し、細小血管病そのものの進行をできるだけ抑えることが、本当の目的です。しかし、ここで一つ誤解してはいけないことがあります。血圧や血糖をしっかり管理したからといって、脳卒中の再発がゼロになるわけではありません。治療は再発の危険を減らすことはできますが、完全になくすことはできないのです。

私は、この考え方は骨粗鬆症による圧迫骨折と非常によく似ていると思っています。
L1が圧迫骨折しました。イベニティを始め、コルセットを作りました。痛みも楽になりました。それで終わりでしょうか。実は違います。
L1が折れたということは、L2も、T12も、その隣の椎体も、同じように骨が弱くなっている可能性があります。だから次は別の椎体が折れるかもしれません。
実際、続発性椎体骨折は最初の数か月、特に半年以内に起こりやすいことが知られています。そのため私たちは、骨粗鬆症の薬を開始し、コルセットを装着し、転倒を防ぐようお話しします。リハビリで体幹を鍛えることも勧めています。目的は、今回の骨折を治すことだけではありません。次の骨折を少しでも減らすことです。
しかし、すべての対策を完璧に行っても、続発性骨折を完全に防げるわけではありません。治療で危険を下げることはできますが、ゼロにはできないのです。


病気は、一つの出来事だけを見ると、本質を見失います。
ラクナ梗塞は、「一本の血管」の病気ではなく、脳全体の細い血管の病気。
圧迫骨折は、「一つの椎体」の病気ではなく、背骨全体の病気です。
一本の血管が詰まったこと、一つの椎体が折れたことは、氷山の一角であり、全体から送られてきたサインなのです。
だから私たちは、その一本、その一つだけを診ているのではありません。
その後ろに隠れている病気全体を診ているのです。
治療は「始めたら終わり」ではありません。
治療の意味は、再発の予防です。これが次の脳梗塞や次の圧迫骨折を少しでも遠ざけてくれるのです。ですから、あくまで完全には予防できません。

一本の血管のつまり、1個の椎体骨折は、病気全体からのメッセージ。私たちは、その一本、1個を治しているのではなく、その向こうにあるお化け(病気全体)と闘っているのです。

厳しい戦いの時もありますが、頑張らなければなりません。厳しい時には厳しい、としっかり説明しますので、ご理解くださいね。医療側任せではなく、患者さんも自覚してください。とにかく、でかいお化けはでかいんです。

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