- 4月 6, 2026
FESSによる両側上殿皮神経剥離術
上殿皮神経障害、もともと筋筋膜性腰痛、つまり「なんかよくわからん筋膜の疲れ腰痛」とされてきた腰痛が、名前の付いた末梢神経による痛みであり、これを直接神経ブロックや、リゾトミー(神経焼灼術)、そして神経剥離術で治癒可能であることが井須豊彦先生らの業績で分ってきました。日本脊髄外科学会のホームページにはしっかりと掲載されています。

それでも興味を持つDrが少ないのが現状です。腸骨の際を押して、痛ければこれです。その周辺のどこを押しても痛がる場合は別です。正中から6㎝くらい、つまり腸骨縁の内側に圧痛があれば、かなりこれ。骨縁にブロックをして数日改善するようなら確定診断。良くならない場合は、脊柱管病変、神経根症状を疑うべきかもしれません。毎週、毎月注射に来る患者さんもいますが、遠方の方にはリゾトミーをお勧めしています。

リゾトミーは針孔手術です。ブロックと同じ侵襲で、かつ長持ちしますから、いい事ばっかり。しかし、自費で30万円、がネックになる方がほとんど。そうは言っても、30万円て、他院と比較していただいたら、びっくりするくらいの低価格なんです。
2014年ごろ、三重大学で数例、上殿皮神経剥離術を施行しました。もちろん井須先生のところで学んでから。

はじめは時間がかかったりしましたが、徐々に手術のコツと、うまくいく患者さんの選び方がわかってきました。しかし、手術では井須先生でも、5㎝の切開が必要です。そして1時間の局麻、腹臥位での辛抱も必要です。

2019年に大学を出てからは、ブロックとリゾトミーしかしていません。5㎝切開よりは針孔治療かなあ、と。そもそも顕微鏡手術をしていないし。
そこでそこで、FESS内視鏡を用いて上殿皮神経剥離術をしてみてはどうかと考えました。これなら保険が効きます。

です。
症例を供覧します。80代の男性。

CTでは多椎間の癒合があり、しなやかさのない、固そうな腰。背部の筋膜には負担がかかりそう。FESSによる剥離術を提案したら、1か月ほど考えて同意されました。

FESSで上殿皮神経を剥離しています。
術後の創です。

結果、切れ味抜群で症状改善し、大喜びです。もちろん日帰り、数時間の滞在です。
保険がきくので、この患者様の負担は1万円以下。
FESSによる上殿皮神経剥離術、あんまり調べても出てこないです。やっている人はいるかもしれません。たまたま上殿皮神経に興味のある私がFESSを習得して、リゾトミーが高すぎると悲しむ患者さんがいれば、こうなりますね。今後も少しずつ知見を重ねていきます。