- 2月 3, 2026
今、腰が痛いままだらだらとクラブをしたいですか?それとも一生スポーツを思いっきり楽しみたいですか?
腰椎骨折完成のリスクがありながら、運動を休んでくれない中学生
先日、中学生のAさんは学校、クラブ、その他、複数の運動を掛け持ちするアスリート。
左の腰痛で初診。MRIで左L3椎弓根に高信号あり。CTでは骨折線なし。腰椎分離症、つまりせぼねの疲労骨折の「超初期」と言われる状態と診断。
成長期のスポーツ選手に多い腰椎分離症の症状と治療方法について:ふなせいトピックス:整形外科の専門手術 人工関節手術・関節鏡視下手術・内視鏡下手術・スポーツの船橋整形外科病院

初診から12日後に硬性コルセット装着。
その後、痛みが取れたので、運動を勝手に開始。リハでは体幹筋肉トレーニングを指導。腰痛がないので、クラブ参加は黙認されていた。
硬性コルセット2か月でMRI施行。L3椎弓根の高信号はわかりにくく(良い所見)。硬性コルセット一旦終了。リハは継続。
硬性コルセットはずして1週間でお電話。「コルセットはずして2日で痛みが出始め、3日以上治らないので電話しました」
リハとカンファ。「体幹筋肉が足りていないのが問題」
→スポーツ中止、安静、スポーツコルセット装着、リハの監視下で体幹筋肉向上とともに慎重に運動を開始する方針とした。
3週間後 スポーツコルセット受け取りのため来院。
- Aさん「腰は痛い。治らないまま運動している、筋トレメニューは週に1-2回のみ家でやっている、クラブは週に5回、通常メニューでやっている」
- 私「骨折完成してしまうの、わかるよね。痛い間は運動禁止です。リハで体幹筋肉が足りていないことは聞いていますね。それをクリアして慎重にこちらの指示で始めるべきです。せぼねの疲労骨折の可能性がとても高いです。」
- 母上「やっちゃいけないって言うのですが、やるんです、聞かないんです」
本人は私の言う事も母上のいう事も聞きません。
その夜は疲れて寝ましたが、朝4時前に、このことで目が覚めました。これ言うべきだったなあ。

Aさんはある判断をしています。頭の中で天秤を想像して下さい。
1.運動をしたい気持ち(純粋にしたい、仲間に対して引け目を感じる)
2.腰の骨が骨折する
を比較して、運動したい気持ちを優先させています。
腰の骨が骨折するとどうなるのか想像しましょう。
- (今はだましだまし運動できているけど、)骨折が完成して痛みが強い場合には、痛くてとても運動どころではありません。痛がっているあなたより、痛がっていないあなたのほうがずっといいプレイをするでしょう。もっともっと痛くなります。
- 腰の骨が骨折するという事は、今後、痛みで病院に来たり、下手したら手術するかいなかの判断をしたりする事になるんです。それは避けられません。あなただけが痛がって苦しむのではありません。忙しい母上や周りの人に大きな迷惑をかけるのです。そんな日々をだらだら送るんです。
- それよりは心を鬼にしてクラブに行くこと自体をいったんやめなさい。数か月です。見学に行って、ボール拾いをせずに安静に勤めることがあなたにはできません。それは母上もわかっています。ですから医者としては「見学含めてクラブへの出席停止」を勧めます。しばらく休んで、体幹筋肉を鍛えれば、また思いっきり運動できるんだから。

(Female Athletes | Shire Sports Medicine)
クラブの顧問の先生へ
脊椎疲労骨折治療のために安静加療をしなければいけないときには、クラブの見学も含めて出席停止が望ましいです。なぜならボールを拾ったり、下手したら痛くないから勝手に参加してしまうAさんのような子がいますから。
おそらく先生は後々「そんな医学的状況だなんて知らなかった、痛くないからさせた」とおっしゃるでしょう。
脊椎疲労骨折、すなわち腰椎分離症が完成する前と後では話が全く違います。骨折が完成したら、引っ付くことがないので、運動は(本来は痛くない範囲で)してもいいです。
骨折が完成していない時期に痛くないから運動させたら、骨折してしまいます。運動はダメです。痛くないから運動させていいわけではありません。将来のAさんの運動する楽しみを奪っているのはクラブ参加を許可している担当の先生でもあります。さすがにクラブの先生が許可していなければ運動はしないでしょう。私と母上のいう事は聞きませんが。
クラブに参加しないことで仲間と関係が悪化する、その結果色々な弊害があるかもしれません。重要な問題ですし、これは責任取れません。それにはクラブの先生がしっかりと理解して「Aはボールに触れるな、見学していいけど腰に悪い事一切するな」というべきです。