• 12月 21, 2025

骨粗鬆症性骨折は折れたら終わりじゃない!始まりだ!

骨折すると、1年間の再骨折率は5倍、1年後の死亡率は1/4少し値は張るが骨形成促進薬を必ず使うべき一緒に行こうぜ、1年間のDream Bone Tour

この患者様、何とコラム登場は2回目、1回目は3か月前のコラムの具体例3の方。 良い診療、良い治療のために マインドフルネスの入り口は仏教 | 淡海せぼねクリニックブログ

50代なのに圧迫骨折が何個もあって骨密度もかなり低い。元々内服の骨吸収抑制薬を飲んでいたが、手間を減らす、効果も高いプラリアに変更しました。もちろん骨形成促進薬を投与できれば理想的だが、値段が高いし、言うだけで怒りそうな人。プラリアで1年間ぐらいおとなしく機嫌よくしていたが、どこで勉強したのか、プラリアの副作用としての顎骨壊死、そして中止後の骨密度低下について聞いてきました。

続けたら顎骨壊死、中止したら骨密度低下、骨形成に切り替えたら値段が高い、をすべて説明した後で、私)「どうしましょうかねえ」

この時点では私は確たる答えがありませんでした。彼女はめちゃくちゃ怒りましたねえ。今回、2025年版 骨粗鬆症治療ガイドラインが改定され、熟読する機会を得ましたので、重要事項をまとめます。

そして2回登場された上記患者さんに対してビシッと、心の中で言います。 「骨形成促進薬を使いなさい。一緒に1年間のDream Bone Tourに行こうぜ」

2025年のガイドラインでは「骨形成促進薬投与が第一選択!」「初めに骨形成促進薬を使うのが重要」という点がかなり強調されています。今までよく使われていたボノテオ、ボナロンや、半年に1回注射でらくちんなプラリアなどの骨吸収抑制薬を第一に使うのは骨折リスクの少ない患者さんだけ。

順序は逆になりますが、骨粗鬆症を治すには大きく分けて二つ。 骨を作る力を強めるか、骨が吸収されるのを遅くするか、なんです。【骨粗鬆症】新規薬剤「オスタバロ」骨形成促進薬

骨形成促進薬のほうが良いに決まっているのですが、高いんです。 順番も大事で、はじめに骨形成促進薬を使った方が、良いのです。The future of osteoporosis treatment – a research update – PubMed

高い薬を嫌がる患者さんに勧めるのは無理ですが、骨形成促進薬の利点、使わない不利益をしっかり説明するのが我々の仕事であり、社会貢献、そして患者さんへの愛です。そういう事で、骨粗鬆症について基本事項をいくつか示します。 骨粗鬆症は女性に多く、70歳以上の女性では半分が骨粗鬆症です。

実際に骨がこんな感じになり、折れやすくなります。 せぼね>大腿骨>手首の順に多く折れます。女性>男性です。

次のデータが怖い! 骨粗鬆症性骨折は若者がサッカーの試合で腕折るのと訳が違うんです。普通に筋力・知力低下傾向の老人ですから、骨折によってどんどん生活レベルが下がり、死亡率が上がるんです!!!

クリニックに腰が痛くて来られ、(新規)圧迫骨折が見つかり、骨密度は低い、という方は、その後1年間の再骨折率は5倍に上がるのです。ただでさえ折れやすい年齢と状態で、かつ5倍折れやすいって、どういう事! もっとこのやばさをわかって!

仮に3割負担の方が骨折の危険性の高い骨粗鬆症であることが判明したら、特に骨折で発見された場合には、少しお金はかかりますが、毎月3割、窓口15000円の注射を1年間続けましょう。この1年を私はDream Bone Tourと勝手に名付けました。

骨折発症でない場合、既存骨折があればDream Bone Tourを勧めるでしょう。既存骨折もなければ、低い骨密度をお話して、骨折のリスクを考えて、同意を得られればやはりDream Bone Tourでしょう。

泣いても笑っても1年間です。18万円で日本、世界で最も良い治療が受けられるんです。42万円は国が払ってくれているのです。国にとっても高いから1年間限定なんだと思います。1年間の後で骨吸収抑制薬に切り替えるのは理想的治療です。

淡海せぼねクリニックでは骨粗鬆症患者様に対してイベニティ(骨形成促進+骨吸収抑制薬)、テリボン、オスタバロなどの骨形成促進薬、プラリア、リクラストなどの長期間有効な骨吸収抑制薬、月1回静脈注射のボンビバ、または内服でのボノテオに加えてビタミンD製剤、Ca製剤を投与します。

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