• 1月 6, 2025
  • 2月 12, 2025

はじめに言葉ありき

~私は腰部脊柱管狭窄症? すべり症? ヘルニア?~

当クリニックで提供させていただく医療について、論文や学会発表のような難しい形式ではなく、外来で患者さんに話しかけるイメージでいくつかのコラムを作ろうと思います。
一人一人の患者さんに説明したいのですが、時間がないので、コラムという形でまとめます。自分に対するハードルを低めにして、気軽に書いていきます。間違いがあるかもしれませんので、その時は指摘してくださいね。

最も手術する機会の多い「腰部脊柱管狭窄症」と言う病気について私なりに定義したいと思います。何を言っているかわからないようではいけませんから。

1.「症」は症状を呈しているときにつけたい

症状の原因となっていれば「症」をつけます。「腰部脊柱管狭窄症、すべり症、分離症、椎間孔狭窄症」などと定義します。画像所見があっても、症状の原因でない場合は「腰部脊柱管狭窄、すべり、分離、椎間孔狭窄」とします。ヘルニアは症状があってもなくてもヘルニアでよいので便利です。

2.病名説明では「・・・を伴った△△△」

腰部脊柱管狭窄症とは腰部脊柱管内を走行している神経組織(馬尾と神経根)が周囲組織(骨性あるいは軟部組織)によって圧迫され、神経症状を呈した状態です。国際分類ではすべり症もヘルニアも椎間孔狭窄症も分離症もすべて脊柱管狭窄症の中に入るのです(Verbiest 1976)。

患者さんは「私は狭窄症ですか? ヘルニアですか? すべり症じゃないのですか?」とお聞きになられます。

図のような場合は、「すべりとヘルニアと側弯と椎間孔狭窄を伴った腰部狭窄症」で、症状の原因になっているのは中心性狭窄なので、その部分のみ除圧します、という感じです。ただ、椎間孔狭窄と区別して外側陥凹狭窄と中心性狭窄を狭義の脊柱管狭窄という場合もありますのでややこしいです。
実際「せぼね疾患」では脊柱管狭窄は狭義の脊柱管狭窄(外側陥凹狭窄と中心性狭窄)を採用しています。

これに関連して、他院でレントゲンを撮影し、上の骨が前、後ろにずれているので「私はすべり症」と決めつける人がいます。前にずれれば前方すべりでしょうし、後ろなら後方すべりでしょう。しかし、それが症状を呈している、つまり「すべり症」かどうかはわかりません。神経症状、MRI、そして時に神経根ブロックを組み合わせて初めて画像上の所見が症状の原因であることがわかります。

レントゲンですべりはわかりますが、他の患者さんはレントゲンのみで、MRIを撮影せずに「あんたはヘルニアや」と断言された人がいます。これは別の問題かもしれません。言葉は大事なんだけどなあ、と思います。

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