- 11月 23, 2025
「この腰痛は治らないものだと思って生きてきた」
椎間関節リゾトミー著効の30代女性 術後1か月診察
この患者さんは言葉が良い! 光るんですよね。
「その言葉頂きます、はい、コラムで頂きますね」適宜、確認しましたので、掲載OKと思います。
つい最近、(というか、そういう時はたいてい今日か昨日なんですが)、外来に来られた30代女性。遠方から夫の実家のこちらに引っ越してきて、当院の患者さんである義父にすすめられて受診。そもそも最初は頚肩の痛み、頚椎ヘルニアでリハビリをしていました。理学療法士が腰痛を聞き出して、「先生、ちょっと、腰っぽいです」とのこと。診てみると
歩いているときは楽、動き出し、腰の曲げ伸ばし、立ち上がり、寝るときに増悪があります。仰向けに寝るのがつらい、いつも横向きに寝る。

MRIでは、これ以上ないだろうというくらいに椎間板はきれいで、脊柱管もひろびろ。仙腸関節症、腰椎椎間関節症を疑いました。
「腰椎椎間関節リゾトミー」30年来の腰痛が治った 70代男性 | 淡海せぼねクリニックブログ

1回、試しにレントゲン透視下に椎間関節ブロックを行うと、

いつもの痛みが誘発され、そして
その日は「腰痛がないってこんな感じなんだ」というくらい楽だった。痛みがない日がなかったので、ぶり返したときに余計に痛い気がした。
すぐにその後リゾトミーにはいきませんでした。保険で何回もブロックという方法もあったかもしれませんが、放射線を浴びたくないので、あと1回で決めたい。でも自費なのでお金がかかる。
何とか家族・周囲と話し合って、結局2か月半後に椎間関節リゾトミーを行うことになりました。

オペ中に「もっと下も痛い」。触ると仙腸関節。「はいはい、サービスしときますね」
仙腸関節にも局所麻酔してリゾトミー。
1か月後の診察

今はオペ終わった直後よりも痛みが少ない
日中動いているときは痛みを感じない
横向きで寝るのが楽だったが、今は仰向けで楽に寝られる
痛みで起きることはない
治らないものだと思って生きてきた
この最後のひとこと、やばい、(さらにエモい)
他のクリニックに受診すると、どうだったでしょう。
若い人の下肢痛のない腰痛、レントゲンとられて「骨は何ともない」が普通なんです。片方の下肢痛があれば、同じレントゲンでも「ヘルニアだな」と言われます、ホンマに!かなりごねれば、他院に紹介してMRIもありうるでしょう。さらにMRIで超きれい。「何にもない!」と言われます。ここでおそらく「メンタルだな、ストレスあるでしょ」。ストレスのない人はいません。ここで終わったら、前回のコラムで書いた「いろんな検査や医学があなたの腰痛を解明するのに追い付いていない可能性」という事になりますね。
「腰痛―い 脚ゼンタイ痺れる」 MRIは正常:それは「身体表現性障害」 | 淡海せぼねクリニックブログ
今回、まあ毎回やりますが、触れて診て椎間関節症を疑い、レントゲン透視下ブロックで椎間関節症であることを確認。根本治療を考えて保険収載されていない椎間関節リゾトミーを行ったわけです。 椎間関節症自体は全然新しい概念ではないのですが、何せオペにならないので、誰も注目しない。私も藤枝平成記念に修行に出るまでは全く知りませんでした。藤枝では、特に南学先生に教えて頂きました。ありがたい。

教えて頂いた知識、技術、スピリットは近江八幡で脈々と生きています。