- 11月 21, 2025
「腰痛―い 脚ゼンタイ痺れる」 MRIは正常:それは「身体表現性障害」
検査では何もない「心」による身体の症状 それは身体表現性障害
身体をいくら調べてもどこも悪くないのに、明らかに本人にとって症状があり、身体の不安がつきないという障害のことを身体表現性障害と言います。


精神科の先生のとても分かりやすいホームページがありましたので、リンクを載せます。
身体表現性障害(身体症状症)の症状・診断・治療 – 田町三田こころみクリニック 内科・心療内科・糖尿病内科・精神科
画像検査がはじめから全く正常な人はそのように申し上げます。「検査では正常です」その上で

腰痛は3つに分類される。その中の激ヤバ、中ヤバ腰痛ではない、それ以外の腰痛の中の「精神的」腰痛ではないかと思われることをお伝えします。「いろんな検査や医学があなたの腰痛を解明するのに追い付いていない可能性はありますが」という事も場合によってはお伝えします。
ここで問題は、手術が完全にうまくいって、画像でもよくなるはずなのに、なぜか長期間にわたって症状が遺残する患者さんです。神経が痛んでいる、もちろんありうるでしょう。右のみのはずなのに左にも同じような症状が出てくる、左には病変がない、という段になって初めて「身体表現性障害か」と気づくこともあります。元々の病気で痛くて面白くなくて、鬱っぽくなって、プライベートや仕事もうまくいかず、悪循環、ありえますよね。完全に「身体表現性」と言わないまでも、そういう要素が皆さんにありうるという事を我々は認識しておくべき。そしてある程度までは何とか自分で治療して、ある程度以上はしっかりと「身体表現性障害」について患者さんに説明したうえで、専門の心療内科や精神科に紹介することになると思います。
これをすべてひっくるめて診てくれる人たちがいればいいのですが、ペインクリニックというのはそういうものではないみたいです。そういう科なのかもしれないけど、麻酔科の一部の先生がペインクリニックなわけだから少なすぎる。
というわけで、今日は基本の「身体表現性障害」についてまとめます。上のホームページも大いに参考にしています。
一般的に、身体表現性障害は以下のように分類され、方針も整理されています。
1.分類
- 従来の分類:
- 身体化障害(検査で何もないけどイターイの)
- 転換性障害(ストレスで吐き気、頭痛い、のど詰まる、など)
- 心気症(症状はないけど、あたし病気なんじゃない?)
- 身体醜形障害(あたし醜い? ゆがんでる?)
- 疼痛性障害(≒身体化障害)
いやあ、複雑で難しくてよくわからない。お互いに重なっているものも多いので、最近の米国の分類法も含めて大雑把に以下のように整理します。
- 病気不安症:症状はないけど、病気があるのではないか、と不安(あまり当院には来ないかも、症状がないので)
- 身体症状症:症状はあるけど検査では何もない。苦痛や生活への支障がある(身体)症状と、それに関する極端な思考・感情・行動を特徴とします(医学的に説明できなくてもよい)。
2.原因
- 身体感覚の誤った解釈(イタイと思い込み)
- 抑圧された葛藤(いたみに意識が向くと葛藤と向き合わずにすむ)
- 疾病利得(休めたり、心配されたり、病気であるメリット)
3.治療
(ア) 身体表現性障害であることを認識する
(イ) 好循環(心が落ちつくことで、ストレスと向き合いやすく)を狙う
(ウ) 悪循環(逆に身体症状によってストレスが蓄積→うつ状態や不安障害)を避ける
(エ) 認知行動療法
具体的には精神症状のみ、または身体症状にもアプローチします。
身体の症状に対しての治療:通常の医学的治療
吐き気止め、過敏性腸症候群のイリボー、緊張型頭痛や肩こりでの筋弛緩薬、様々な痛み止めなど
精神的な治療
- 抗うつ剤 SSRI(ジェイゾロフト)、SNRI(サインバルタ)、三環系抗うつ薬(トリプタノール)
- 抗不安剤 デパス、アルプラゾラム、ワイパックスなど
- 漢方 加味逍遙散、加味帰脾湯、抑肝散、半夏厚朴湯など
- 無理なら専門家(精神科)紹介
最終的にラポールが維持できていれば我々が診ますし、それが破綻すれば紹介するしかありません。こちらのキャパ、時間も能力もですが、も重要です。愛のみでなく総合力です。
