- 11月 4, 2025
痛み止めの軟膏で皮膚が荒れてしまった腰椎椎間孔狭窄の患者さん
FELF手術で軟膏から解放され、皮膚がきれいになった!
先日、天皇陛下が国スポで滋賀に来られました。どこに泊まられるのかと思ったら琵琶湖ホテル。琵琶湖ホテルの前身である「びわ湖大津館」は戦前からある由緒正しき建築物。いろんな有名人が泊ったり、天皇家がお休みになられたり、最近では映画「国宝」の舞台になったり。見に行きました。なかなあ良かったです。きくちゃんが怒られたシーンね。

さて、腰椎術後改善しない状態をFBSS(failed back surgery syndrome)といい、その1番大きな原因は椎間孔部病変の見落としです。しばしばコラムで触れていますが、この部分の病変を見つけ、神経根ブロックで改善を確認、内視鏡で除圧して改善する、という一連の流れが、なんというか良いんです。見落とされているものを見つけるというのがたまらん。

上図の真ん中の部分(脊柱管内)で神経が障害されるのが最も多いことですが、両側の部分(椎間孔)で障害されることも10%くらいあります。
40代、関東在住の働き盛り男性。腰痛3年来、下肢痛は1-2年前から。2024年秋に1回目の手術を東京の内視鏡手術で有名なA病院(おそらく、今日本で1番多い)で。なかなか改善せずに今年初めに同じL5/6再除圧を施行。他院でもブロック、カテーテル治療などペインクリニックで色々。良くならずに2025年10月の初めに受診されました。

東京のA病院の名前と、ペイン含めていろいろやっていることから、たぶん何も病気はないだろうなあ、と思いました。素直にそれを告げて、
私:「あるとすればL5/6椎間孔狭窄です。

L5ブロックをして効けば除圧の価値があるかもしれません。申し訳ないけど、今日は患者さんが多くて、どうしても神経根ブロックができないのです。今度、その為だけにまた来ていただけますか?」
さすがに関東からだから断られると思ったら、またはるばる来てくれる、と。1週間後の土曜日に新幹線で来られ、神経根ブロックをしたところ、
患者さん:「こんなに足が軽くなったことはない」と喜んでくれました。
私:「このまま改善が続けばよいのですが、必ずぶり返しますよ」
しっかりとお話。
私:「A病院に今回の結果をお送りします。A病院ならFELF、必ずできると思いますよ。」
患者さん:「こちらでお願いします」
私:「えー、本当ですか。わかりました、じゃあ頑張ります。できればオペの日に帰らずに、ホテルで1泊だけはしていってほしいですが、可能ですか?」
患者さん:「うーん」
手術当日、ちゃんと新幹線で来てくれました。
手術当日。この前のブロックの時には気付かなかったのですが、痛み止めの軟膏によって、背中の皮膚が黒く荒れて、まるで焼けています。

びっくりしました。そうとうに苦しかったんだろうなあ、と。この時に写真を撮ればよかったのですが、承諾もないし、オペ前でそういう気分ではありませんでした。
手術は順調に終わり、下肢痛は消失。タクシーでホテルへ。ドレーンは入れないので、翌日傷をチェックしてお帰り。
1週間後

CTとMRIで除圧はばっちり。症状も良い。創を見ると、下の写真

普通にテープが付いて、コルセットの跡がついているのですが、手術の時にあった軟膏荒れがない! (これに感激したので、このコラムを書いているのです。)赤黒く痛々しい皮膚から、白ーく落ち着いた感じ。明らかに違います。
長年、ずーっと使っていた軟膏を塗らずに1週間は済んでいるようです。
椎間孔って診断が難しいから、こういうことがよくあるのです。これだけで1冊の本があるのですから

さて、明日は2例の内視鏡下腰椎椎弓形成術があります。11月から4年目に入ります。
火曜木曜は手術と整形外科専門医外来、
水曜日は脳神経内科・頭痛外来、
院長は基本毎日土曜日まで外来 です
とにかく人の役に立ちたい。いきなり知らないことしても仕方がないので、少しずつせぼね、脳神経から整形、脳神経内科に広げていきます。みんなの力を借りて。
「人の痛みをとる、そして人の役に立つ」 淡海せぼねクリニックでした