- 10月 25, 2025
私は腰痛をこう診ている 「急ぐか、MRI要るか」
2025年10月24日 金曜日の夜です。いきなりですが、私が腰痛を診る場合に時に大切にしているポイントは
「急いで診断・治療しなければいけないか、そうでないか」
「MRIがすぐ必要か否か」
2019年腰痛ガイドラインによるとこのようになります

これでは全然わからない、頭に入らない人のために、私はこの図を基に、頭の中で下のように分けています。

急ぐ:せぼねの損傷、神経の損傷の可能性がある
1.圧迫骨折→骨がつぶれる→脊髄神経損傷(具体的には骨粗鬆症、がん、脊椎炎など)
比較的突然発症で身動き、寝返りで激痛があります。外傷がなくても突然発症なら疑います。レントゲンで骨折も何もなくても、完全否定することは難しいので、淡海せぼねクリニックではレントゲンのみではなく、腰椎MRIを頻繁に撮影するのです。臨床的には:骨粗しょう症は年齢と痩せているか否か。がんは既往と最近痩せたか否か、感染症は熱としんどそうかどうか
2.神経圧迫→不可逆的神経損傷(脊柱管狭窄、ヘルニア、硬膜外膿瘍など)
神経症状、つまり殿部や下肢痛、筋力低下を来します。中には腰痛のみの脊柱管狭窄、ヘルニアの方も見えますが、珍しいです。下肢痛に相当する場所にMRIで神経圧迫所見があればビンゴです。(腰椎疾患による下肢痛に対する研究 | 淡海せぼねクリニックブログ) 椎間板症は下肢症状がなくてもいいので、3.にするのか迷うのですが、特に前屈、座位で悪化し、MRIでよくわかります(Modic変化)。これはまた別のコラムで書きます。
急がない:
3.せぼね周囲(椎間板症、椎間関節症、仙腸関節症、上(中)殿皮神経障害、梨状筋症候群、股関節症など)
殿部痛はあっても、下肢痛はないことが多いです。梨状筋症候群は坐骨神経痛が出ますけどね.仙腸関節症なんかも下肢痛をよく伴いますが、少なくとも腰(仙腸関節部)痛のほうが激しいです。これらはMRIで分らないことが多いです。MRIより「触れてわかる」腰痛なのです。

さらにそれ以外:内臓、大動脈(これらは珍しい、そして実はメチャ急ぐ、センスと疑う心が必要)
たとえると骨は家です。神経の入れ物です。神経はその中の人です。

一番大事なのは人を守る家が崩れない事(骨折やがん、脊椎炎)
次に大事なのは家の中にクマが入って来て人間が襲われないこと(ヘルニア、狭窄症)
最後に家の周辺のいろんな不調(椎間関節症など)に対処すること。
ずっと書きたかった腰痛のイメージをやっと書くことができました。皆さんも重症度、MRIの必要度、その後の対処など、共有してくださいね。
「人の痛みをとる」 淡海せぼねクリニックでした―