• 7月 30, 2025

症状が改善しないときに考えられる事 そして設置した気付きのベル

2025年7月30日 水曜日 朝

術後、患者さんの症状が患者さんの思ったように改善しないときに考えられることを挙げてみます。

8mm内視鏡での水中FESS手術

  1. 神経圧迫(接触・水圧)
  2. 血腫(炎症・圧迫)  
  3. 診断違い
  4. 期待との乖離
  5. 慢性化(脳の痛み)
  6. 筋肉や関節の痛み
  7. 糖尿病・肥満・高齢・複数回手術など
  8. 全身合併症
  9. 不可逆的な神経損傷

が考えられます。対策としては

1.神経圧迫(接触・水圧) → 最小限にするために神経を圧迫しないアプローチを考慮。 
水圧は止血に必要 → 日にち薬

2.血腫(炎症・圧迫) → 明らかに血が出やすい人とそうでない人がいる。
血腫が神経を圧迫していなくても、存在するだけで痛い → 日にち薬、時に血腫除去

3.診断違い → ブロックなどで可能な限り避ける

4.期待との乖離 → はっきりと術前に説明する。

しかし、都合よく忘れることが多い

5.慢性化(脳の痛み) → 予知困難。罹病期間の長さ、もともとの気質

6.筋肉や関節の痛み → リハで術前チェックする。しかし、わからないことも

7.糖尿病・肥満・高齢・複数回手術など

8.全身合併症 → 術前検査と麻酔科チェック。しかし、ゼロにはできない

9.不可逆的な神経損傷 → 絶対に避けたいが、ゼロはあり得ない

今回、困ったこととして4.期待との乖離について少し触れます。昔ではない、いつかです。神経根ブロックをしてある部分の症状が取れたので手術をしました。術前説明では本人と家人A、私で十分にブロックの結果を吟味しました。「これはおそらく改善します。これは良くならないと思います」、と。

術後、予想通りにある部分は良くなって、ある部分の痛みは残りました。本人は家人Aではなく、家人Bに残った痛みについて毎日愚痴りました。私は術前説明で言った内容を思い出していただこうと、順を追って冷静に患者本人に説明したところ、横から家人Bが「治っていないんでしょ、しっかり言いなさいよ!」とたきつけます。ここで反省すべきは、家人Bの気持ちを私が一旦受け取って、「いろいろ愚痴られて困っていらっしゃるんですね。しかし、ここ症状が取れないのは術前から確認していたことなんですよ。良くなっているところに注目して、患者さんをプラス思考にもっていこうと思っていますので、Bさんもできればご協力ください」といえばいいのですが、簡単に言うと、できませんでした。この件で数日から1週間は嫌な気持ち、落ち込みます。百戦錬磨にはなかなかなれません。

購入したのはニコちゃんマークの付いたベル

予想外の出来事が起こった時は、いったん息を吐き切ってから、深く吸う。呼吸って吐いてから吸うと書くんですね。確かにまず吸うより良いのです。やってみてください。皆さんはできているからいいですね。できていない私のような人だけでいいです。

そして自分をメタ認知(第三者視点から俯瞰して見ているように自分を認識すること)するために買ったのがニコちゃんベル。普通にベルを買おうと思ったのですが、まさにニコちゃんマーク! 何かの縁だ。

何かがあって、「ベルを鳴らそう」、と思うだけですでに対象と距離を置ける。「その前に一呼吸だ」とか。横に看護師さんたちがいてくれれば、ある程度冷静になれますが、そういう時に限っていなかったりする。ベルを鳴らせば看護師さんたちが来てくれる、呼ぼう、と思う。「鳴らそう」と思うだけで冷静になれる。優秀なメンターが電子カルテの下でこっちを見ているようなものです。

そして、たまたま2年半使ったアシックスを買い替えようと竜王アウトレットのナイキに行ったら、なんとここでもニコちゃんマーク! ナイキまでが私を応援している! はい、めちゃくちゃプラス思考。2個買いました。

今日も3例の手術があります。1例はマエストロ五百蔵先生。経過が長かったり、いろいろ思い入れのある患者さんたちです。「この1例で私も死ぬ」の思いで最高の手術を! みんな頑張ろう

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