- 6月 30, 2025
ぼーっとすることは大事、嫌なことを反芻してはだめ、そして瞑想が大事
デフォルドルフモード・ネットワーク(DMN:Default Mode Network)について
2025年6月29日 日曜日です。めちゃめちゃいい天気
5時前から起きて本読んだり、読んだ本に影響されて日牟禮八幡まで少し走ったりしました、朝8時の今は少し疲れて眠いくらいです。

先日、A先生とお会いすることができました。とてもさわやかな先生で、そしてランナーです。鴨川べりを週末に20㎞走るのが楽しみだそうです。しかし、ある時イヤホンで医学論文を聞きながら走ったら、走った後の爽快感が感じられなかったそうです。
私は即座に「面白い、脳だ!」 と思いました。
「ランニングと幸福、イヤホンで台無し」か
まずランニングと幸せという意味では
- ランナーズハイ:エンドカンナビノイドが快感の原因→穏やかな気持ち、陶酔感
- 樺沢先生:幸せホルモンのセロトニン
- マインドフルネス
- デフォルドルフモード・ネットワーク(DMN:Default Mode Network)
の4つくらいが思い浮かびました。深堀りすると
ランナーズハイ:かなり激しく追い込まないと感じられない。結構ゆっくり気楽に走るって言っていたし。違うだろう。
セロトニン:これは樺沢先生の朝散歩。20㎞のランニングだしなあ。
マインドフルネス:歩行瞑想もあるけど、ランで瞑想って、無理だ。
デフォルトモード・ネットワーク(DMN:Default Mode Network):これだ!
DMNとは、ぼんやりと休んでいるときに活性化される脳の神経回路のこと。2001年に発表され、この20年はかなり脳科学領域では注目されています。ちなみに私の受けた脳神経外科専門医試験では記憶のパーペッツ回路くらいしか出てきませんでした。
ではDMNは私たちにどう影響しているのか 良いこと〇、悪いこと✖ の両方あります。
〇 DMNは必要!:DMNは脳内の情報整理に必要。休憩中は意識的にぼーっとしてDMNを働かせねばなりません。携帯を触ったらDMNは働きませんので、知識は整理されず、頭はすっきりしません。
✖ ただぼーっとすると不安が増強することも:DMNが働くと、マインドフルネス(今ここに集中)と逆のマインドワンダリング(心がさまよう)になりやすい。そうなると往々にして、人は不安や恐怖などの感情を引き起こす思考を繰り返す(反芻思考)ことで余計にそれらの感情を強めてしまうことが多いのです。
✖ ぼーっとしても脳が疲れてしまう:意識的な作業で使う脳のエネルギーはわずかに5%なのに、DMNは脳のエネルギーの60-80%を消費するといわれています。ぼーっとしてもいいけど、あんまり長くはいけない。無防備に不安を増強させて過剰活動すると逆にくたくたになる。寝起きに不安なことが思い浮かんでぐるぐる=最悪ッてことですね。

多分、電話、論文、カンファ、携帯から離れて20㎞の慣れた鴨川を走るときのA先生の頭の中はDMNが活性化しているのでしょうね。そこでイヤホン、医学情報という「仕事」に触れるとぼーっとできない。つまりDMNが働かなくなって、結局走っても頭の中が整理できず、すっきりした感じにならないのでしょう、と勝手に想像しました。
- 脳科学者であり、ランナーの茂木健一郎さんは
「DMNを働かせるには適度なノイズが必要で、最適な手段の一つがランニング。
ぼーっと走っているうちにアイデアをひらめいたり、やるべき取り組みが明確になる」
- 「10年以上の瞑想マスターの脳ではDMNの活動が低い」(2011年)
→DMNの過剰活動を瞑想が抑えることができる
- うつ病患者の脳ではDMNが過活動、クヨクヨ、堂々巡り(反芻思考)

結論として、
時にぼーっとすることは重要! 意識して行う。
しかし、くよくよ反芻すると脳が疲れ果てる
暴走させないためには瞑想が必要
明日からの1週間、淡海せぼねクリニックでは内視鏡下脊椎手術が10例あります。
クリニック全体では「内視鏡下脊椎手術で日本をリードする」という目標に向かって、みんなで仲良くチームワークをもって頑張れば、大丈夫。
個人的には、よく寝て、落ち着いて、時々しっかりぼーっとして、できれば毎日5分でも瞑想し、手術では常に最悪の事態を想定し、畏れを持っていれば大丈夫。