- 2月 12, 2025
BKP圧迫骨折に対するセメント手術
保険・日帰り・3mm切開の低侵襲手術
2025年2月10日月曜日朝7:08。
寒いが雪は溶けているのでOK。
今日は腰部脊柱管狭窄症に対する内視鏡下椎弓形成術(DPEL)2例、続いてL5分離を伴うL5/S1椎間孔狭窄症+ヘルニアに対する内視鏡下椎間孔形成術(FELF)1例、そして腰椎外側型椎間板ヘルニアに対する内視鏡下椎間板摘出術(FELD)1例、合計4例の手術があります。すべて日帰り、保険適用、8-10mm切開です。
4例といってもBKP手術が入っているかいないかは結構違います。BKPは30分と説明していますが、実質的な手術時間はほとんど20分以内です。本当に低侵襲で素晴らしい手技。以下にBKP治療のことに触れます。
圧迫骨折に対するBKPセメント手術、冬は多いような気がします。2023年に1例目のBKP手術を当院で行うまでは患者さんたちの拒否感が強くてびっくりしました。みんな「セメント入れる?嘘やろ!どこに?手術!バルーン?ないない、嫌々!!」しないならしないでいいけど。
聞いてくれる人には強く骨粗鬆性椎体圧迫骨折の病態と椎体圧壊などの予想される経過、手術の低侵襲性を辛抱強く心を込めて説明していきました。そして少しずつ良い口コミで増えてきました。だって明らかに素晴らしい治療なんですから。当クリニックのBKP施行数は、
- 2023年26例
- 2024年41例
2025年は1月だけで7例でした。
骨粗鬆性椎体骨折について 発症と経過、痛みの原因
高齢者におこる比較的いきなり発症の背部痛、転倒や外傷はなくてもよい、くしゃみでもなるけど、それもないこともあるせぼねではなくてお尻の上や鼠径部痛のこともある
起きて歩いて痛いこともあるが、寝返り、起きるときも痛いのが特徴
骨粗鬆症のある女性に多いが、男性のしりもち発症も多い 男性は骨密度では正常なことが結構あります。骨密度は正常でも強い外傷なしに骨折した場合(脆弱性骨折)には骨粗鬆症です(原発性骨粗しょう症の診断基準 2012年度改訂版)。骨質を改善するために骨粗鬆症治療を行います。
大腿骨みたいに長い骨ではないので、ぽきっとは折れません。正常な椎体(せぼね)の構造が壊れ、動かないはずのせぼねに微小な動き(異常可動性と急性期炎症)が生じて痛みます。これは急性期ですが、そのあとでは骨がつぶれて神経を圧迫したり、せぼねの配列、姿勢が変わってしまって違う痛みを来す場合もあります。
つまり、①骨癒合が得られる
または、②圧壊が進行する
そして、③骨折治らずぐらぐら(偽関節)のどれかになります。
結果として姿勢が悪化したり、激しい痛みが残ることがあります。
保存的治療
安静臥床で骨癒合がむしろ遅れる(千葉ら 2011)、硬性コルセットは手術を回避するのに、エビデンスはないが、おそらく良いだろう(木下ら 脊椎脊髄2024)。背中の曲がった老人に硬性コルセットを処方しても本当にみんなつけられません。これを頑張ってつけてもらって、それでも最終的に骨癒合するとは限らない、って!そういうこともあって基本的にもう少しつけやすいダーメンコルセットを使用します。これは有効性のエビデンスはないと思います。そして手術可能な患者さんにはBKPをお勧めします。
BKP手術
滞在数時間の日帰り手術です。
BKP手術は2011年ごろに戸川先生が治験を通して日本で初めて保険収載されました。それまで保険収載の椎体形成術が日本ではできませんでした。圧迫骨折の患者さんは本当に大変だったと思います。私は2012年からこの手技を行っています。この手術を行うには脳神経外科指導医のいる施設で行う(整形は別)、かつ特別なライセンスが必要です。
手術は30分、全身麻酔の必要性は、手技中にとにかく痛くない、術者の思ったような空洞形成ができること。90代の患者さんでも全身麻酔の後で日帰りは全く可能です。創や基本的なことはリンクに書きました。ここからブログでは少し応用です。
どのような患者さんはリスク?

BKPのみで治らないかもしれない骨折のこと。最近言われているのは骨の壁欠損が大きいもの、真ん中で切れているもの(Splitタイプ)、靱帯が切れてぐらぐらしているものです(図1)。

図2には危険骨折の代表であるSplit骨折の患者さんを示します。はじめはSplitではなかったですが、前方のみのセメント充填になり、骨の硬さのバランスの問題からか、Split骨折を来しました。通常はスクリューを用いた大きな固定術を行いますが、患者さんとの十分な話し合い、あとから固定術が必要になったら五百蔵先生に桂病院でしてもらう約束までしてから2回目のBKPを行いました。


後方の荷重を支えられるようになってからは椎体の壁の形成も促進され、図3では十分なリモデリングができました(Kuraishi, Cureus 2024)。Splitの段階で固定術をせよ、という世の中の流れですが、次のSplit骨折症例でもBKP単独で前方から後方まで十分にセメントを充填しました(図4)。

ばっちりうまくいきました。シンプルな手技ですが、実は奥が深いのです。固定術が必要な患者さんにはもちろんそのように説明します。時にBKPの説明をされずに固定術を受けたという患者さんがいます。それはだめです(図5)。
BKPもある、BKPのみではRiskyな患者さんには固定術のできる病院をお勧めする、BKPしてうまく骨癒合しなければ固定術を追加する(これは固定術を追加してくれる先生とも事前に話し合っておく必要がありますが)。今日はかなり専門的な話になってしまいました。骨折しても早く離床してボケない、認知症にならないように、BKPの存在を周知する必要があります。骨粗鬆症治療の必要性は勿論ですが。