- 8月 12, 2025
私が注目していなかったことが大問題!
健康と要介護の間:フレイル! 人参養栄湯の効果
2025年8月11日 月曜日 朝
フレイル
最近、世の中で騒がれているけど、あまり関心を持っていませんでした。
「フレイル」:簡単に言うと要介護の手前

身体的、精神・心理的、そして社会的フレイルがある
2014年から言われています。フレイルはからだ的+こころ的+社会的に多面的な問題を抱えていることが多く、要介護の手前の状態を指します。ただ、まだ自立生活を送れる状態、リカバー可能な状態です。

口の老化?
身体的フレイルにはオーラルフレイルも含まれます。口って大事なんですね。

老年医学、高齢者医学ってあるんです
フレイルは単に「加齢」と言えるかもしれませんが、最近は大学病院では「老年医学」大きな病院では「高齢者医療センター」というものがあるのです。フレイルというものを学問的に分析して、多くの人の力で何とかしようとしているのですね。

フレイルの原因
原因は2番目の図よりも少し学問的なものを引用すると以下のような感じ。だいぶん詳しいです。この図を見ると、いつもの患者さんの声が聞こえてくるようです。
「もともとの病気があるしよー、多くの薬を飲まなあかん、家族も調子悪い、なんだか食べれん、やる気も出ん、耳が聞こえんで人としゃべるんが億劫、1日中座っとるか寝とる、動かんで食べれん、全身痛いし」


淡海せぼねクリニックでは、
腰椎の除圧手術を受けられる方は、ある程度歩ける、元気な方が多いです。手術して元気になりそうな人しかこちらも勧めないし、患者さんも希望もしません。しかし、中には手術希望でフレイルかなあ、と思う患者さんもいます。
圧迫骨折や骨粗鬆症の患者さんの中にはフレイルといってよい人は多いと思います。こういう方には「牛乳もいいけど、しっかりたんぱくとってねー、肉魚!」。そしてビタミンDと、骨粗鬆症のお薬を開始します。しかし、みるみる筋肉がついてくる人、ほとんどいないです。
ちなみに指輪っかテストというものがあります。脹脛で筋肉量を見ます。

実は最近、80代男性が奥様と診察に来られました。1年前まで脊柱管狭窄の治療をしていた患者さんです。「筋力が衰えて、ジムに行き始めたらすぐにいろんな関節が痛くなってくる、の繰り返し」。本人は話が少し冗長ですが、私も奥様も同じ気持ちで、何とか本人にしゃべっていただこうとします。なかなかうまく言えません。奥様は非常に元気でシャープ。二人の焦りが良く理解できましたので、とりあえずリハビリを予約しました。「腰痛とか、いろんな関節の痛みにリハビリ」。私はあんまりピンと来ていませんでした。「必要性はあるけど、お役に立てるかなあ?」リハビリならうちよりもずっと近くにリハをする大きな整形はあるしなあ。不安でした。翌日に再診され、当方からは「自宅近くでリハビリしたら?」。すると奥様からは「その整形外科に加えて、滋賀県立総合病院の老年内科に紹介してください」。おそらくこちらの自信のなさがしっかりと伝わったのでしょう。私はほっとしたというか、奥様の希望の的確さに感心しました。この時点では「フレイル」という言葉は私には思い浮かびませんでしたが、今考えるとこの患者さんはしっかりとフレイルだと思います。
フレイルの動画配信
その後の週末にクラシエさんがフレイルの動画配信を見るように、たまたま勧めてくれたのです。先の患者さんの事や、いろいろと日常臨床で出会った患者さんの事が思い浮かんできたので、金曜日、土曜日、そして日曜日に勉強したというわけです。とても勉強になりました。そして、知らなかったことはとても恥ずかしく思いました。
ぎゅっと絞って、予防と治療というか、介入の仕方は以下の様


そして「人参養栄湯」!
この厄介なフレイルに対してすごい特効薬があるのです。それが「人参養栄湯」

クラシエさんがくれた冊子には、人参養栄湯のフレイルに対する効果が20ページの冊子にびっしり掲載されていました。これは全くの一部です。漢方ですからすごく古いのです。西暦1100年から1200年くらいにはすでにできていたみたいです。すごい。
異病同治
フレイルの人に対して人参養栄湯を飲んでいただくと、
疲労倦怠感、食欲不振、体力低下、冷え、貧血がすべて有意に改善したんですって。
また、体重、日常生活動作、抑うつ状態まで有意に改善した、とのこと。
他の報告では筋力も骨密度も歩行能力も(動物実験もいっぱい入っていますが)改善しています。

異なる病気、症状に対して同じ治療が有効な場合を「異病同治」と言いますが、まさにその典型です。
まとめ
残念ながら私はまだ、人参養栄湯をそれほど出した経験がありません、特にフレイルに対して。とても勉強になったので、自分の勉強のためにもまとめてみました。
今回、フレイルについて勉強する機会を得ました。
初めて興味が持てて、かつ興味を持っていなかったことを恥じています。
今後、淡海せぼねクリニックでは、「人参養栄湯」のみではなく、とにかくフレイルかどうかをしっかりと考える事、他のスタッフによるフレイルサポートなど、いろいろなアプローチをしていきたいと思います。