- 8月 5, 2025
脳せき髄液減少症
「寝込むほどの頭痛がすべて片頭痛というわけではない」
2025年8月5日火曜日 朝
立秋は明後日。1年で一番暑い時です。皆様、どうぞご自愛を。
なんか、私も良く寝たのに疲れるんですよね。散歩は朝6時までに終えるようにしています。
先日、ちょっと珍しい患者さんを経験しました。
看護師さんがしっかりと情報収集してくれました。以下の様
40代男性、外仕事。筋トレ趣味:朝3時からジムで筋トレ。
2週間前に突然発症。他院にて熱中症と診断。屋外仕事を始めると突然頭痛出現し、立っていられなくなる。寝ると治る。1日中同じ状況で働けない。我慢できないほど。
こうして情報収集をまとめると既に答えは出ていますが、MRIを撮るまでは「マッチョな片頭痛だなあ」と思っていました。MR(図1左)で硬膜の肥厚を見て、「脳せき髄液減少症」とひらめき、真ん中と右の頚椎撮影で硬膜の外に液体貯留が診られます。

診断確定には髄液圧測ったり、CT脊髄造影、そしてRI(放射性同位体)を髄液腔に入れたりします。そして診断出来たら硬膜外生食注入、そして硬膜外に自家血液の注入を行って硬膜に開いた穴を修復します。治療はシンプルですが、診断がめちゃくちゃ大変です。三重大学では私は脳神経外科でその窓口をやっていました。結局、国際医療福祉大学熱海病院の篠永先生にほとんど紹介していました。

私が今回したことは近江八幡市立総合医療センター脳神経外科に紹介させていただいたこと、そして「とにかく水飲んで、しっかりと頭を低くして寝てください」とアドバイス。そして「水関係」の病態はすべて五苓散です。これで自然に修復するのを狙います。

頭痛の診断で脳腫瘍が見つかることはほとんどありません。脳動脈瘤はたまに見つかります。という事は実際に頭痛の原因がMRIでわかることは多くはないのです。今回はMRIで診断出来た、比較的希少な症例だったと思います。脳せき髄液減少症に限らず、この季節はとにかく脱水になってしまいます。皆様、水分・塩分をしっかりと摂ってくださいね。