• 7月 9, 2025

淡海せぼねクリニックの低侵襲・脊椎内視鏡手術 2025年前半で202例

2025年7月9日早朝

6月が終わり、2025年前半を振り返りました。2022年11月に全くつながりのない滋賀県で開業し、脊椎内視鏡手術を中心として2023年は165例、2024年は329例、そして2025年は前半だけで202例が行われました。

私自身は淡海せぼねクリニックのKPI(Key Performance Indicator)、日本語で「重要業績評価指標」は手術数だと思っています。手術をしなくなればまた変わるかもしれませんが、現時点では。

手術ばっかりかよー、人を何だと思って、という批判はあるかもしれません。しかし、手術数というのはクリニックの手術を行う能力のみでなく、トータルな患者さんの判断で変わります。無駄な手術、下手な手術ばっかりしていれば減るでしょう。上手な手術をしても患者対応、説明が拙ければ減るでしょう。患者さんは人ですから、スタッフが心を込めて対応しなければ離れるでしょう。こちらが「まず手術ありき」で手術ばっかりしようとしている、と思えば減るでしょう。病院が汚かったり、設備が古ければ減るでしょうね。患者さんはお体を、命を懸けています。その患者さんのセンスを信じています。こちらに誠意がなければすぐにドボンでしょう。いつもそう思っています。

浜松医大の整形外科教授の松山先生は以前学会でおっしゃいました「脊椎外科医は脊椎内科医でもある」。もちろん脳神経内科医の先生は脊椎・脊髄のことをよくご存知ですし、細かな神経診断学では外科医は時に足元にも及びません。しかし、たくさん手術を経験した人しかわからない細かな事は当然たくさんあります。こういう人ってなんか良くなるんだよね、なんか良くならないんだよなって。論文にかけることはごくごく一部です。そのほんの一部が教科書になります。私自身に関しても1年前とはまったく、半年前とも考えていることは違います。どんどん患者さんを経験して、その蓄積が今です。

藤枝平成記念病院の花北先生は「手術ができないと絶対に後輩になめられる」。いやいや、先生のことはなめないですが、真実です。手術をしない外科医はなんか弱気です。逆に手術しないのに学会で雄たけびすごい先生もいますけど、なんかねえ。

手術だけで学術活動をしない医師はDrの中では少し軽視されます。今はむしろ書いています。2024年から2025年で今のところ英文3本を投稿しました。彦根中央病院の牧先生のご協力あってのことですが。

Successful Treatment of Secondary L5 Osteoporotic Vertebral Fracture Post-balloon Kyphoplasty With Revision Balloon Kyphoplasty

K Kuraishi, Y Maki, Y Ioroi, T Kobayashi – Cureus, 2024 – cureus.com

Successful Management of Cervical Kyphosis With Myelopathy Across Multiple Vertebral Levels Using Microendoscopic Laminectomy: A Case Report

Y Maki, K Kuraishi, Y Ioroi, T Kobayashi, T Kawasaki – Cureus, 2025 – cureus.com

Clinical Outcome and Our Experience of 33 Consecutive Cases Treated With Cervical Microendoscopic Laminoplasty in a Single Clinic

K Kuraishi,Y Maki, K Toshinari, K Tamaki, I Yoshihiko – Cureus, 2025 – assets.cureus.com

165例→329例→今年は400例ペースですが、中身が変わってきつつあります。より内視鏡下脊椎手術(FESS)が増えて、BKP、多椎間における頚椎症性脊髄症に対するMED手術を限定しています。BKPは金属固定の追加が必要になるケースがまれに存在するので、そういう不安定性の強い患者さんは医療センターに紹介しています。多椎間の頚椎症性脊髄症は皮膚切開が小さく筋肉にも低侵襲なのですが、わたくしDrに対する侵襲がものすごく大きいので、いわゆる普通の切開手術である椎弓形成術をお願いすることが増えました。これは当初から予想していたもので、適材適所という事になります。

内視鏡下脊椎手術(FESS)の中身では、出血の少ない手術ではドレーンを入れなくなりました。先週施行の10例中、血抜きの管であるドレーンを入れたのは3例でした。そして全員日帰りです。術翌日の診察がなく、1週間後の診察のみの方もかなり増えました。ドレーンの量に一喜一憂してばかりのころとはかなり違います。

看護師さんの質・量の充実もあります。そしてスタッフ全員の頑張りも目覚ましいです。先輩が新人に教えるシステムが機能し、誰もがやるべきことを自覚して率先して行うシステムができてきました。自分は充実して働き、患者さんには良くなってもらいたいですからね。

とにかく気を引き締めて、そして明るく。今日も4例のFESS!

淡海せぼねクリニック 0748-29-3339 ホームページ